【ガンバ戦】SOLID・DEFENCE・ORGANIZERS【FoD】
- 2019/08/21
- 21:11
一人少ない中のあの強固な4-4ブロック
酷暑の中での全員のハードワーク、集中力・・・
今季のジュビロはここまで殆どの試合を3バックで戦ってきて、更に夏の移籍期間中に新戦力も多く加わった中でなかなかチーム全体での守備の連動や組織力では難しいだろうけども、
それでもここまで結果が全く出ていない3バックよりは4バックが良いでしょう・・・という中で迎えたガンバ大阪戦4-2-3-1システムスタート。
今回はこの日のジュビロの素晴らしい守備についてフォーカスしていこうと思います。
-INDEX-
(1)前半33分03秒-綺麗に揃った4-4守備ブロック
(2)後半76分25秒-大南ファビオの2CB連携
(3)後半82分41秒-秋山のスライド絞りと逆サイドクロスボールケア
(4)後半84分17秒-セルフジャッジの落とし穴にハマらなかった上原力也
(5)後半87分46秒-クレバーな大南拓磨のタクティカルファウル
(6)後半AT-アダイウトンのあのプレー選択は絶対にやってはいけないこと
(1)前半33分03秒-綺麗に揃った4-4守備ブロック
(2)後半76分25秒-大南ファビオの2CB連携
(3)後半82分41秒-秋山のスライド絞りと逆サイドクロスボールケア
(4)後半84分17秒-セルフジャッジの落とし穴にハマらなかった上原力也
(5)後半87分46秒-クレバーな大南拓磨のタクティカルファウル
(6)後半AT-アダイウトンのあのプレー選択は絶対にやってはいけないこと
(1)前半33分03秒-綺麗に揃った4-4守備ブロック
この日の4バックの安定感を象徴していたのがまさにこのシーンだと思っていて、このシーンの直前ジュビロは山田大記1トップでのハイボール確保に失敗。
しかし一人少ないということもあってボールロスト後もジュビロは闇雲にハイプレスに行かずに、ボールを失った山田大記も自らボールを追うのを止めてチーム全体で後ろに撤退します。
(H大分戦で大南拓磨が退場してしまい10人になったにも関わらずチーム全体で無謀なハイプレスを敢行していたあの頃とは真逆です。)
前半33分のシーンではガンバのバックラインでボールを繋がれてジュビロの右サイドから左サイドへ大きくサイドチェンジされ揺さぶりをかけられますが、
この時のジュビロの4-4の守備ブロックと、初めてコンビを組んだ小川-大南-ファビオ-秋山の最終ラインのコンパクトさと列の整い具合は見事です。とても綺麗に揃ってます。
サイドチェンジされても山本康裕がまず横にスライド、それに連動して田口泰士もしっかりスライドしているので一人少ないジュビロですが守備に穴は空いていません。
綺麗に揃った4バックの距離感も良く、コンパクトなゾーンディフェンスの中で危険なスペース(バイタルエリア、バックラインの裏)も埋めることが出来ています。
WBの時の秋山はどうも守備のポジショニング、最初の立ち位置が甘く簡単に新里の横のスペースや秋山の裏のスペースを相手に使われてしまいましたが、このシーンではワイドに張り出した27番DF髙尾瑠の裏抜けにも完璧に対応。
非常にソリッドな守備組織を形成出来ていることが分かります。
(2)後半76分25秒-大南ファビオの2CB連携
既に後半も半分が過ぎて給水タイムも終わったこの時間帯。
なかなかジュビロはアダイウトンを投入しても攻撃時裏へ抜け出すような攻撃が出せず、強引に田口がアダイウトンを目掛けてロブスルーパスを放ちますが呆気なくガンバDF陣に対処されボールロスト。
で、この後の大南ファビオが素晴らしかったです。
遠藤保仁から宇佐美貴史へ素早く縦パスを繋がれてしまったネガティブトランジション・・・前線に走り出すFWパトリック・・・
俊足CBの大南は一度前に出そうになりますがそこから後ろへ一気に方向転換してバックスプリント出来る足を強靭な脚力を持ってるんですよね・・・
暑さと10人での疲労蓄積・・・にも関わらず素晴らしい守備への反応の良さ。
大南となるべく近い距離を保ってパトリックの後ろでポジションを取りながら大南のカバーリングを出来ているファビオもこの日がジュビロデビュー、大南とコンビを組むのが初めてとは全く思えない程のチャレンジ&カバーのスムーズさ・・・
このシーンだけではないですがこの二人は本当に安定してました。しかも184cmと186cmで高さもあるわけで、一夜にしてソリッドな2CBコンビが出来上がってしまったとすら思えてしまいますね・・・
(3)後半82分41秒-秋山のスライド絞りと逆サイドクロスボールケア
新加入DF秋山陽介は4バックシステムになって大きく変わった選手の一人だと思いますが、残り時間も少なくなってきたこのシーン。またもガンバはジュビロの左サイドから右サイドへジュビロを自陣深くへ押し込みながらのサイドチェンジパス・・・。
3バックシステムのガンバは両WBが攻撃参加し高い位置を取ることで鈴木-倉田-矢島-パトリック-小野瀬の5トップの形に可変してきました。
ジュビロはそのまま4バックですので自ずとDFの枚数は一枚足りなくなってしまいます・・・
サイドチェンジパスを通されてまずRB小川大貴が大外に引っ張り出されてしまい、その後ろのハーフスペース付近に倉田が飛び込んできてCB大南もゴール前からサイドに釣り出されます・・・
この形は危ないパターンですよね・・・2CBの片方がサイドに釣り出されてしまったのでゴール前正面はCBファビオのみ。
ゴール前のスペースも大きく空いてしまったことで楽々とパトリックはファビオの背後(影)へ流れてファビオの視界から消えています・・・
しかもその後の倉田と鈴木のショートパス交換によって大南だけでなくファビオまでもゴールから離れた場所へ釣り出されてしまいます・・・が・・・。
そこで逆サイドから中央へ絞ってパトリックのマークに入ったのがSB秋山陽介でした。
横にいるファビオが外へ釣り出されたことをしっかりと確認していたことでサイドから中央へのスライドが素早く、パトリックの前のポジションに割り込めたことでその直後に飛んできた倉田のクロスを大きく跳ね返すことに成功しました。
秋山もかなり疲労蓄積していたはずですが、最後の最後まで集中力を維持し自分の逆サイドからのクロスに対してボールウォッチャーにならず、足も止めずに素早く対応出来たことが追加点を許さずラストの同点ゴールに持ち込むところに繋がりました。
更にその奥の大外ファーサイドにクロスを上げられたらやばかったですけどね・・・アダイウトンが下がって守備しろ・・・とも言えない状況。アダはカウンター要員としての役割で投入されたはずですし、あまり守備意識が強すぎても今度は全く攻撃出来なくなってひたすら相手の攻撃の受け身になってしまう方が辛かったと思うのでね。
ガンバの可変5トップを4バックのまま守るという割り切り方はこの状況では致し方無かったかなと思います。
(4)後半84分17秒-セルフジャッジの落とし穴にハマらなかった上原力也
最後に投入された中山仁斗がバックスプリントで勢い余ってファウルを与えてしまい嫌な位置、角度からのガンバのセットプレーに。
ジュビロの守備は横一列に並ぶゾーンディフェンスです。ターゲットマンのFWパトリックには敢えてジュビロはマンツーマンでは守備していません。
これリプレイで見ると微妙なんですよね・・・大外のパトリックが荒木大吾を後ろからプッシュした?→荒木倒される→その前にいた上原力也もドミノのように倒される。
井上レフェリーはここまで視認出来ていたか微妙です。私もリアルタイムでは単に荒木と上原が自滅的にぶつかってしまったかのように見えましたが、リプレイでは恐らく荒木は背中からプッシュされて倒れてますね。
でも笛はなりませんでした。
笛が鳴っていないならば、サッカーはプレーを止めてはいけません・・・それが仮に大誤審だったとしても・・・OTZ
上原は倒れた直後激しくレフェリーに抗議しますが、笛が鳴らないと分かったらまた即立ち上がり先に立ち上がった荒木大吾よりも素早く目の前の相手の動きに反応、体を投げ出しながらジャンプし身長186cmのDFキムヨングォンに競り勝ってクリアするというね・・・
ここでセルフジャッジで足を止めていたら・・・恐らくジュビロは追加点を決められガンバにとどめを刺されていたことでしょう・・・
素晴らしいキャプテン上原力也の魂の守備・・・
後半70分のアダイウトンへのアシスト未遂もそうですが、本当に今季彼はコンタクトプレー、球際、体と体のぶつかり合いに強くなってると思いますね。。。確実に成長している部分。
(5)後半87分46秒-クレバーな大南拓磨のタクティカルファウル
後半87分ゴール前でのジュビロの攻撃がシュートで終われず一気にスペースへロングボールを放り込まれそのルーズボールをパトリックが収めてカウンターに繋げようとするシーン。
ここでサイドに流れたパトリックに付いて行ったのは左CBのファビオではなく右CBの大南拓磨でした。
もしこれが3CBシステムだったならば、大南は右のストッパーだったためあの左サイドの位置までは遠すぎてパトリックを追走出来なかったと思います。2CBにしたことで最初の立ち位置もやや中央寄りになったことで、大南の俊足カバーリングの範囲は広げることが可能になりました。これも4バックに変更して良かったことの一つだと思います。
4バック2CBにして大南置けば彼の俊足カバーリング範囲広げられるのにな。3CBだと大南の足は右側にしか効き目ない。
— けいす BARD SBB (@caseneuro) August 12, 2019
恐らく大南の方がブランクのあるファビオよりもスプリント出来るという判断での入れ替わりだったと思いますが、ここで大南はわざとパトリックにファウルして止めます。
これこそ海外サッカーで非常に重要視されるタクティカルファウルです。ベン・メイブリーさんによると似ている言葉にプロフェッショナルファウルという言葉がありますが、プロフェッショナルファウル=カード覚悟で相手のチャンスシーンをファウルで潰して実際にレフェリーからカードを受けるファウルのこと、
そしてタクティカルファウルは同じく相手のチャンスをファウルで止めるんだけどもカードを貰うまでのファウルではないものとのことです。
あの位置でファウルして止めるなら決定機阻止ドグソにはなりませんし、コツンと軽く後ろから当たっただけなのでイエローカードを貰うような激しいファウルでもありません。(もしあの時大南がもっと激しいチャージやスライディングタックルで止めてファウルになったらイエローカードが出る可能性もありますけどね)
もうジュビロの選手たちには残されたスタミナはごくわずか・・・でも1点が欲しいので更に前掛かりにならざるを得ず、しかしそこでシュートで終われなければ一気に手薄な後ろのスペースを使われてカウンターを食らってしまう・・・
でも大南があの位置でファウルで止めてくれれば、他の選手たちは全力スプリントで帰陣しなくても良くなるし、むしろちょっと休めるかもしれません。その後リスタートされてもしっかり守備をセットしてから全員で守れるので、あのタクティカルファウルは本当にクレバーなプレーだったと思います。大南のあの時間帯での対応はパーフェクトだったのではないでしょうか。
(6)後半AT-アダイウトンのあのプレー選択は絶対にやってはいけないこと
そして一つ気になってしまったのが後半AT92分のアダイウトンのプレー。
アメフトの”フォースダウンギャンブル”よろしくなんとしても1点が欲しいジュビロはここで2CBのファビオも大南も前線に上げてゴール前のターゲットを増やすパワープレイに。
しかしアダイウトンはここで最終的にガンバの選手4人に囲まれながらも強引にドリブル突破を試みて止められてしまいボールロスト。
そのロストから一気にロングカウンターを食らってしまい最終的にはパトリックの決定的なヘディングシュートまで持ち込まれてしまいます・・・
ファビオも大南も前にいるので帰陣は不可能。
2ボランチの上原や田口が守備で止めようと試みますが突破され、カバーに入った小川大貴も上手くマークには付けきれませんでした・・・
アダイウトンはこの大南もファビオも前に上がっている状況で絶対に強引なドリブル突破はしてはいけませんでした。
1対3or4と圧倒的に数的不利の中で強引に突っ込んでしまうのはあまりに無謀。
ギャンブルプレーですから攻撃が失敗してシュートやクロスで終わることが出来なければ即相手の決定的なカウンターを食らってしまいます。
ドリブルを始めた時既にアダイウトンは相手を複数人引きつけることが出来たので、そこで無理に勝負しようとせず後ろの秋山陽介へバックパスして戻すべきでした。
そこでパスを受けた秋山はどフリーの状態で質の高いクロスボール、ロングフィードをファビオや大南に蹴り込めますし、
実際PK獲得シーンでは田口泰士の素晴らしいロングフィードがファビオへ通りその折返しを大南がシュート、セカンドボールを中山仁斗が先に反応して倒されてPKゲットという流れでした。
やはり現代サッカーにおいてこういった一つの大きな判断ミスは、一気にこちらの大ピンチに繋がってしまいます。
フベロ新監督になってその辺のプレーの判断力、サッカーIQ的な部分は間違いなくこれから求められていくだろうし、フベロ監督はそういった部分は徹底的に拘ると思いますので、今後は選手のスタメン選考は大きく変わるかもしれないなと思ってます。
ただ名波ジュビロでは強引にドリブラーが敵陣に突っ込んでいくのは戦法としてOKとされてきてしまった感も強いですので、
ここから選手たちがチームの戦い方の変化に上手くアジャストしていけるかどうかも大きな注目点かなと思います。
台風が去ってフェーン現象で全国的に酷暑だったこの日の試合。本当にジュビロの選手たちはルキアン退場にもめげず最後まで気持ちを切らさず戦い抜いたと思ってます。
この粘り強さがあれば奇跡は起こせると思いますし、なんとかチーム一つになってリーグ戦も最後の最後まで戦って欲しいと思います。次のセレッソ戦が楽しみです。

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- テーマ:Jリーグ
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